海底ケーブルを制する国が世界を制す?


みなさん、こんにちは😊

普段の生活でスマホやパソコンを使うとき、私たちは何の疑問もなくネットにつながっていますよね。LINEで友だちと連絡を取ったり、YouTubeで動画を見たり、Zoomで海外の人と会話をしたり。でも、こうしたやり取りの多くが「海底ケーブル」という細く長い通信線を通して行われていること、知っていましたか?

今回は、あまり知られていないけれど実は超重要なインフラ、「海底ケーブル」と、それをめぐる国際的なパワーゲームについて掘り下げてみましょう。


🧵「世界をつなぐ糸」海底ケーブルとは?

海底ケーブルとは、海の底に敷設された光ファイバーケーブルで、インターネットや通話、金融取引など世界の通信の99%以上を支えています。通信衛星があるじゃないかと思うかもしれませんが、実は衛星通信よりも速くて安定しているのが海底ケーブルの特徴。

その長さは地球を何周もできるほど。たとえば日本とアメリカを結ぶ太平洋ケーブルは約9,000km以上にも及びます。


🌐 誰がこのケーブルを持っているのか?

海底ケーブルは、国家だけでなく、民間企業が多く敷設・運用しています。中でも注目すべきは、アメリカのビッグテック――Google、Amazon、Meta(旧Facebook)、Microsoftなど。

実は近年、新しく敷設される海底ケーブルのうち、半数近くがこうした民間IT企業主導で行われているのです。

たとえば:

  • Googleの「Equiano」:アフリカとヨーロッパを結ぶ

  • Facebookの「2Africa」:アフリカ大陸を一周するように設計された巨大ケーブル網

  • MicrosoftとFacebookが共同で敷いた「MAREA」:アメリカとスペインを直結

これらを通じて、彼らはインターネットの「高速道路」を自前で持ち、サービスのスピードや安定性、そしてユーザーデータの収集力を高めています。


🇨🇳 中国も見逃していない「ケーブルの覇権」

もちろん、中国も黙ってはいません。

中国の国有企業「華為海洋(Huawei Marine)」は、かつて多くの海底ケーブル事業に関与していました。アジア・アフリカ・中南米など新興国との間で、自国主導の通信網を広げる試みを進めてきました。これは「デジタル版一帯一路」とも呼ばれます。

アメリカはこれを警戒し、国家安全保障の観点から**「中国が通信の裏口から情報を盗むのではないか」**という懸念を示しています。その結果、アメリカ政府は一部のプロジェクトに制裁をかけ、同盟国にも中国製ケーブルの使用を控えるよう圧力をかけています。


⚠️ ケーブルは「切られる」こともある

海底ケーブルには、もう一つ大きな問題があります――脆弱性です。

2022年、ノルウェーとスバールバル諸島を結ぶ海底ケーブルが謎の断線を起こしました。これにより北極圏の観測や通信が一時的に遮断されましたが、誰がやったのかは不明。

また、ロシアによるウクライナ侵攻以降、西側諸国では「ロシアの潜水艦が海底ケーブルを攻撃するのでは?」という懸念も強まっています。

一箇所を切断されるだけで、国際取引や軍事通信に重大な影響が出る。
このリスクが、海底ケーブルを「見えない戦場」たらしめているのです。


💰 経済と安全保障を握る“目に見えない線”

海底ケーブルは、単なる「ネット回線」ではありません。

  • 国際銀行間の決済(SWIFT)

  • 株の売買や仮想通貨取引

  • 軍事・外交のやり取り

…など、国家の命運を左右する通信の大動脈でもあるのです。

だからこそ、アメリカ・中国・EU・日本などの国々が、この「光ファイバーの覇権」をめぐって静かな争奪戦を繰り広げています。

特にアフリカ・中南米・東南アジアなど「通信インフラがまだ発展途上の地域」では、どの国が海底ケーブルとデータセンターを提供するかで、“デジタル外交”の主導権が左右されるのです。


🔮 未来:宇宙と深海の通信戦争へ?

今後は、宇宙通信(Starlinkなど)と海底ケーブルが競合する未来も考えられますが、現状ではやはり海底ケーブルの方が高速・安定・大容量です。

さらに、次世代の「量子通信ケーブル」や、「海底AIデータセンター」など、新しい構想も浮上しており、この見えないインフラをどこが支配するかで、次の世界秩序が決まるかもしれません。


✍ まとめ:「情報の道を制する者が世界を制す」

かつては「海を制する者が世界を制す」と言われましたが、現代は「海底ケーブルを制する者が世界を制す」と言っても過言ではありません。

便利で目に見えない通信の裏側には、国家と企業、そして民主主義や安全保障が絡む静かなる戦争が広がっています。

私たちが普段何気なく使うインターネット。その裏にある「誰がつなぎ、誰が見ているのか?」という視点を持つことが、情報社会の一員としての第一歩かもしれません。

今日も読んでくださって、ありがとうございました😊

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