スエズ運河が止まると世界が止まる?グローバル物流の要を知る
みなさん、こんにちは😊
今回は、中東にある細長い水路、「スエズ運河」についてのお話です。
スエズ運河――普段の生活ではあまり意識することのない場所ですが、実はこの運河こそが、世界中のモノの流れ=グローバル物流を支えていると言っても過言ではありません。
そして、いったんこの運河が止まると、なんと世界経済が混乱してしまうほどの影響が出るのです。
「たかが運河、されど運河」。
その秘密をいっしょに見ていきましょう。
📍 どこにあるの?― 地中海と紅海をつなぐ「戦略の要衝」
スエズ運河は、エジプトの北東部、地中海沿岸の都市ポートサイドから、南の紅海沿岸都市スエズまで約193キロにわたって延びる人工水路です。
「地中海と紅海をつないでいる」と言われても、ピンと来ない方もいるかもしれませんが、これがどれほどの距離短縮になるかというと…
例えば、ロッテルダム(オランダ)から上海(中国)まで船で行く場合:
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スエズ運河経由なら:約20,000km
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喜望峰(アフリカ南端)経由なら:約29,000km!
つまり、9,000km近く短縮できるという驚きのルートなのです。
しかも、これが航空ではなく「海運」。毎日、巨大なタンカーやコンテナ船が、数十億ドル相当のモノを載せて通っているわけです。
🚢 どれくらい通ってるの?― 世界の物流の「動脈」
スエズ運河を通過する船舶は、年間で2万隻以上。1日に平均して50隻以上が行き交っています。
運ばれているのは、たとえば:
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中東の原油やLNG(液化天然ガス)
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アジア製の家電や衣類、部品
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小麦や大豆などの農産物
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自動車、鉄鋼、医薬品など多岐にわたる商品
つまり、スエズ運河は「エネルギー」も「食糧」も「製品」も通る、まさに世界の動脈なのです。
🛑 止まったらどうなる?― 2021年エバーギブン事件の衝撃
「スエズ運河が止まると世界が止まる」と実感させられたのが、2021年3月のエバーギブン座礁事件でした。
強風と視界不良の中、日本の会社が運行する巨大なコンテナ船「エバーギブン」が運河をふさぐように横倒しになり、6日間、全く船が通れない状態になったのです。
その結果、どうなったかというと:
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船の大渋滞:400隻以上が運河の前後で足止め
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世界中の港でスケジュール大混乱
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コンテナ不足による物流遅延
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原油価格が高騰
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一部商品の品薄や値上げ(特にヨーロッパ圏)
たった6日間で、世界経済がここまで影響を受けたのです。物流の「流れ」がいかに繊細で、大事なものかがよくわかる出来事でした。
💰 エジプトにとってのスエズ運河 ― 国家の「金の卵」
スエズ運河は、エジプトにとって単なる通り道ではありません。国家財政の柱でもあるのです。
通行料(=運河通航料)は非常に高額で、船の大きさや積み荷に応じて数十万ドルにもなります。
2023年には、スエズ運河の通行料収入は約95億ドルにのぼり、エジプト政府の貴重な外貨収入源となっています。
さらに、エジプト政府はスエズ周辺を物流・製造ハブとして開発し、海外からの投資も呼び込もうとしています。
🛡️ 戦略的リスクと国際政治 ― 運河は「平和」でこそ機能する
このように重要なスエズ運河ですが、同時に地政学的リスクの高い場所でもあります。
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テロや武装勢力による攻撃リスク
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紛争による封鎖(中東戦争時に何度か実際に封鎖)
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他国の影響力争い(アメリカ、中国、ロシアなど)
特に、紅海周辺での紛争やフーシ派の攻撃は、船舶がスエズを避けて喜望峰ルートに変更する動きすら生んでいます。
つまり、「スエズ運河が安全であること」=「世界の安定した物流」が成り立つ条件なんですね。
🔍 代替ルートはあるの?― それでもスエズしかない現実
では、スエズ運河が使えないとき、代わりのルートはあるのでしょうか?
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喜望峰ルート(アフリカ南端を回る):時間もコストも大幅増
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北極海航路(ロシア沿岸):気候変動で注目されつつあるが、まだ季節限定・設備不足
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陸上輸送(鉄道など):量が少なくコスト高
つまり、現実的にはスエズが唯一の大動脈であり続けているのです。
🌐 まとめ ―「見えないところ」でつながる世界
私たちが日常で手にする商品――スマホ、衣類、食べ物、その多くがどこかでスエズ運河を通ってきたかもしれません。
でも、運河が止まったら?
遅延、値上げ、欠品、工場の停止…私たちの生活にもジワジワと影響が及びます。
スエズ運河は、まさに「グローバル化の象徴」そのもの。
世界は見えない水路で、静かにつながっているんだなと感じさせられます。
今日も読んでくださってありがとうございました😊
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